INTERVIEW Vol.01 
横田 大輔 / Daisuke YOKOTA


interview Kohei OYAMA

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Indication,2010

個展開催(2月7日-24日 ガーディアン・ガーデン) おめでとうございます。まず、写真作品を作り始めた経緯を教えて下さい。

横田(以下Y) 中学生や高校生の頃、使い捨てカメラで写真を撮るのが好きでした。高校卒業の時に、大学受験は大変なので受験も必要ないからという適当な理由で専門学校へ進み、以前から少し興味があった写真を意識するようになりました。そこでモノクロ写真を始め、撮影はもちろんですが、フィルム現像やプリントなどの暗室作業にはまり込んでいきました。当時から作品といえるほどの意識があったか定かではないですが、写真は撮るという事だけでなく、作るという事が大部分を占めているんだと暗室作業で知り、写真にはまり込んでいきました。


当時から現像やプリントで色調を変えたりしていたのですか?

Y 学生時代は全てモノクロで作っていたので色を被せるようなことはしていないのですが、高温現像や焼き込み、他にソラリゼーションや複数のフィルムを1枚の印画紙に焼き付けるなど、暗室内での画像加工の様なことは色々していました。


2008年頃の作品「They」や「Interception」では撮影後の処理によって、絵と見まがうような効果を作り出していました。また、下敷きになった写真がそのまま別シリーズで提示されることもあります。画像加工することに対して一貫した考えなどはありますか?

Y 加工をする事は、何を加えれば良いか、加える要素はどういったものであるか、それを加える為にはどのような作業が必要なのか、何故このような技法を必要としたのかなど、撮影に対する確認作業と自分の持っている漠然としたイメージを考察していくための作業としています。
効果としては、主に視覚以外の要素、つまり記憶や感情、聴覚など主観的な感覚を視覚的なフィルターとして転換し、画像を視覚的に覆うために使用しています。
作業は主にphotoshopで色を抜いたり、像を消したりという処理をします。その後、色を加えたり、傷を加えたり、物によって異なりますが、アナログ的な手法で加工していきます。

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They,2008

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Interception,2009

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Fossil,2009


近作では以前の加工された物と比べ、よりストレートな写真作品となっている印象です。加工からストレート写真へと至る過程を聞かせてください。

Y 現在、ストレートな写真になっているのは、前作までの制作過程で加工によって補っていた事を撮影の段階で含ませることができないかという考えがあります。
まず、作品の前提として、写真が元になっているということから撮影が最も大事だと考えていて、加工は補足や削除などあくまでも二次的な行為として捉えています。前作での加工でより意識的になった部分を今作の撮影の時点で含ませ、そしてまたその写真に対して補足や削除を行うといった循環を重要な作業としています。今は加工で浮き彫りになっていった点を撮影に向けている段階です。


昨年のparapera showではライトボックスを使った「waterside」シリーズを展示されていました。どのような意図でライトボックスを使ったのですか?

Y 写真は紙にプリントしているということで物質として扱われますが、実際に見る人にとっては、人それぞれの記憶や感情に結びつき理解されるという点で過去の時間に属するのではないかと思っています。それを物質化するのであれば、見る人との結びつきを生むために現在の時間が必要となってくるのではないかと考え、複数重ねた写真をライトで浮き上がらせ、見る角度によって多重の層が変化することで多様な観察を可能とし、現在性を生じさせるという意図があります。
もう一点として、デジタル カメラで撮影した画像をパソコンのモニターで確認し、その後プリントアウトして見ると悪い意味での誤差があることから、そのモニターに対してより良い提出方法はないかということ。ただ発光させただけではモニターとそう変わらないか劣るため、多層(3D)であることが必要だと考えました。

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Fog,2009

yokota6.jpgWaterside,2009


セルフパブリッシング「waterside」を作ったきっかけと、作った後に感じたことなどあれば教えて下さい。

Y この作品は当初まとめるつもりはなく、parapera showに出品したライトボックスの作品の下地の物です。なので、きっかけとしてzineを作るという事がなければおそらくまとめる事はありませんでした。
発表形態として色々な形があると思うのですが、zineという形もしっかりと一つの発表形態だなと思います。多くは写真集より安価だし、チープな事で取っ付きやすい魅力や、入手ルートの少なさ、作家自身の手作りという事から希少性を感じます。


スタイルの多様さが横田くんの特徴のひとつだと思うのですが、どのようなインスパイアによって作風が決められていくのですか?

Y 最初にあるイメージとしてはほとんどはっきりしていないです。
例えば写真を撮っていく過程である傾向が出てくるので、その偏りを引き伸ばすようにしています。そのため作品ごとに機材をかえるようにしています。
アナログ段階の加工は実験的にやっています。とはいっても物の素材や手法を変えるのはとても難しい事なので、前回までの自分の作風を元に、最近気になる様々な物を参考にしています。
内容的にやっている事はあまり変わっていないと思うので、作品の形態は現在の自分の興味を反映させて少しでも変化させられればと思っています。


作品の被写体はどう決めていますか?

Y 主に、身近な物や場所や人物、または過去に行った事があり記憶にある場所です。


同時代性についてどのように考えていますか?

Y 同時代性はとても重要に思います。体験は簡単には出来ないが、知るという意味では以前より簡単に素早く多くの事を吸収出来ますし、意識しなくても色々な情報は入ってきます。そういった点で同時代性を無視するという事は難しいと思います。それならば多様な情報に対して意識的に目を向けるようにして、自分の中で整理出来るようにしておきたいです。
例えば現在の傾向として、自分は知覚へのアプローチをしている物の方が反応しやすいということがあり、それはよくも悪くも時代の流れの枠の中にいると思っています。とはいえ、そういった同時代性は無意識に纏えることはあれ、意図的に導入するのはとても難しく思います。自分の制作スタイルと折り合いをつけ、同時代性をどう含ませていくのかといったことは慎重に行わないと既にある同時代の優れた物にはかなわないとも思うので、吸収した上で何かしらの独自の形を作れれば理想的だと思っています。
どちらかというと自分は古典的な傾向があるので、同時代の作家の作品を見る事が刺激にもなり、良い影響になっていると思います。

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Indication,2010

好きなアーティストを教えて下さい。

Y cLOUDDEAD、Aphex Twin、David Lynchなど。


音楽や映画が作品にどのような影響を与えていますか?

Y 主体が決して人間にあるのではなくて、背後に流れる空気の様な音が全体のニュアンスを作っている。それは一枚の平面作品よりも、時間の流れのある音楽や映像からの方が強く感じられました。ニュアンスをどう変換すれば良いのかということなど、違うジャンルからの影響の方が割と自由に発想出来る気がしています。


今後はどういった活動をしていきたいですか?

Y 今後に関してはまだはっきりとは分かっていませんが、まず一つの軸となる作品をじっくりと制作していきたいと思っています。それと同時にコンスタントに発表が出来ればと思っています。

Feb,2011


横田大輔

1983年 埼玉県生まれ 日本写真芸術専門学校卒業
受賞
2010年 第2回写真「1_WALL」展 グランプリ
2008年 キャノン 写真新世紀 佳作、エプソン カラーイメージングコンテスト 写真部門特選
個展
2011年 第2回写真「1_WALL」グランプリ個展 / 銀座 ガーディアンガーデン
イベント、グループ展
2010年 第2回写真「1_WALL」展 / 銀座 ガーディアンガーデン、paraperashow  Online Gallery & Oneday Event /日本橋馬喰町 CASHI
2008年 写真新世紀東京展2008 / 恵比寿 東京都写真美術館、エプソンカラーイメージングコンテスト2008受賞作品展 / 青山 スパイラルガーデン

ウェブサイト Daisuke Yokota