INTERVIEW Vol.03
宮田 聡志 / Satoshi MIYATA


interview Kohei OYAMA

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village scrap metal collection point


個展開催おめでとうございます。まず、作品制作を始めた経緯について教えて下さい。

宮田(以下M) 家の内装や家具はDIYでなんでも作るような父親だったので、道具は揃っていたし子供の頃から身近な素材で何かを作るということはやっていました。高校は美術科を選択し工芸を専攻していたのでその流れでインテリアデザインの専門学校に進みましたが、工芸やデザインといった、用途や意匠が目的になると、物質そのものの生々しさや純度が失われていく感覚に陥り、もっと純粋に物質と対峙しながら作るという事を考えたくて現在に至ります。


鉄板や合板、石膏ボードなど平面と立体の間にあるような素材を支持体としてよく使われていますが、作品に使用する素材にはついてどのように考えているのですか?

M 限りなく平面に近い立体をつくるという意識と、素材そのものの厚みや表面の未知なる変化を観察しながら制作を進めていきます。支持体に描くという意識は無く、常に同一の次元として扱っています。素材そのものの構造であったり、その素材を取り巻く状況などを汲み取りながら選択しています。


レシートなどでよく使われる感熱紙を用いたドローイングや紙漉(すき)など技法も独特ですね。

M 目に見えないものによって浮かび上がる像に興味があるので、そうした現象を身近な材質の観察から発想することが多いように思います。例えば、錆びた鉄の看板が部分的に擦れてギラギラした鉄の表情があらわになっているのを目の当たりにすると、技法として扱えないか考えたりしています。技法に関しては、行為と結果を繰り返してパターンを掴んでゆく感じですが、物質そのものが孕む生々しさなんかはコントロールを放棄した時に現れるので、作為と無為の駆け引きになります。

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紙/paper

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紙/rest

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thermal scape #034


錆びた鉄板を用いた作品があったり、段ボールが破られていたり、感熱紙に描かれたイメージが徐々に消えていくことによって、作品から「朽ちる」、「消失する」という感覚を覚えます。そういったことも物質の生々しさに繋がりますか?

M 繋がっていると思います。「朽ちる」、「消失する」などはネガティブに捕われがちで、隠される事が多いのですが、性質の事実というのを受け止めた上で、変化を前向きに捉えていきたいです。


イメージとして構造体である建築物もよく選ばれています。そういった作品からは、素材における表層と選ばれているイメージが対になっているような印象を受けます。

M 素材の表層から描く対象を選択する事もありますし、逆に、描きたい対象から素材を選択する事もあります。2009年の「parapera show」に出展した作品「OPAQUE AREA」はガラス面にマスキングテープで描いたもので、自宅の窓ガラス越しに映る工場をモチーフに制作しました。毎日その工場が目に入るのですが、何を作っている工場で内部がどうなっているのか全くわからないのです。建築物の見える事と見えない事を軸に捉えていたので、覆い隠すツールであるマスキングテープをオブジェクトとして扱いました。
構造体をよく選択する理由としては、どこかで見た事のある形状でありながら特定できぬ場所、何処にもあるが何処にも無い「像」として対象化させたいと考えているからかもしれません。


ZINEを作る時と作品を作る時で意識の違いはありますか?

M 初めてのZINE「mmm」を作った時は、ページをめくっていく時間軸の意識が新鮮でした。二作目の「section」では、図面をコラージュした作品を写真に撮り印刷したのち、部分的に引き延ばしたり拡大コピーしたものを切り繋いだZINEですが、再現性や復元性ではなく工具のように印刷機を扱いました。三作目の「感熱紙による習作」は作品をつくる意識と同じ感覚で制作していますが、受注で製本するので、制作の為の楽譜のようなものを見ながら制作しています。視覚的に素材を選択するのではなく手触り込みでイメージと素材を選択していったZINEが新作の「Understand-Unknown」になります。ZINEの場合は、やはり映像的であったり音楽や詩のような意識が働きます。


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m/m/m

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OPAQUE AREA

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Understand-Unknown


音楽や本はどのようなものが好きですか?

M 音楽も本もわりとなんでも聴くし読むので、傾向を挙げるの難しいですね。その時の気分とか環境次第で選んでるかもしれません。しいて言うならば、Steve Reichと安部公房がなんだかんだずっと好きです。


個展のテーマなどあれば教えて下さい。

M 「雨漏り」「彼誰時」という言葉が浮かびます。
「雨漏りについて」
雨漏りという言葉を久しぶりに耳にして、寂寥感漂う響きでありながら、どこか間抜けだし、妙なすがすがしさがあってすごく気に入っています。以前の出来事なのですが、マンションの2階に住んでいるのに天井から水が漏れてきた事があってその時の感覚を最近よく思い出します。

「彼誰時について」
昼夜逆転の生活をしているので彼誰時の風景を見る事が多いのですが、この時間帯が一番好きです。明るさと暗さが同居していて、その複雑な見え方に興味があります。
Sep,2011



宮田 聡志

1984年生まれ。埼玉県所沢市在住。
レシートやFAX用紙に使われる感熱紙を素材にアイロンなどの熱によるドローイング作品や、身近なものを材料に一枚の紙に漉 きあげた作品などを制作。
主な展示として、2009年「Anonymous Coward Award」観覧者賞受賞/十和田市現代美術館。「P&E2009」入選/ARTCOURT Gallery/大阪。2011年、二人展「matter」CASHI/東京、など。
ウェブサイト http://miyatasatoshi.info/


個展 「雨漏り」  9/9(金) - 10/1(土)
公開制作:9月9日・9月10日・9月30日・10月1日(15:00-19:00)
クロージングパーティ:10月1日(18:00-20:00)

CASHI  http://cashi.jp/
〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
開廊時間 : 火-土 11:00-19:00
休廊日 : 日・月曜日及び・祝日